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8. 玉砂利の行方

18-CIMG8502.jpg 
                                             砂利が敷き詰められた神宮参道は広くて長い

昨年の暮れ近く、伊勢神宮の内宮さん参道で職員
のじいちゃんが砂利作業に精を出していた。参拝者の多い神宮では参道の厚く敷かれた玉砂利ならしは日常のありふれた光景なのだが、このじいちゃんの動きはいつものそれとはどこか違っていた。ながめていると、玉砂利を平らにならしているのではなく掻き集めているではないか。なんのために?「これをせんと砂利がどんどん石段を上って行くんや」 と教えてくれたが… 砂利が石段を上る?

「そうや、どんどんてっぺんまで上ってく」。何度訊いても同じような答えしか返ってこなかったが話の端々から察するに、参道の玉砂利が参拝者のズボン裾や靴底にはさまって「石段を上り」、そこでこぼれ落ちたりすると足許が危いので暮れから正月などの参拝者が多くなる時期前には石段下のじゃりを土ぎりぎりまで掻きとっておくということのようだった。

10-CIMG1310.jpg「危ない、危ない」というじいちゃんのひとり言を聞きながら、除夜の鐘を聞いてから初詣に出かけたときのことを思い出した。参道にあふれていた人の波は進むにつれ洪水となり、最後の石段で詰まって水かさが増したようなもので脱け出そうにも身動きもできない。新年の午前2時過ぎ、石段の上で五十鈴川から吹きつけてくる冷風を受けながら1時間以上も肩を丸めて立っていた。寒さしのぎに足踏みをしようにもその隙間さえない。そんなとき、「上を見てみい。ひとりコケたらみな将棋倒しや」という大阪弁が聞こえてきて、凍りついてしまったことがあった。

じいちゃんが
かき寄せた玉砂利が長い畝になる頃、トラックに乗って兄さんが現れた。スコップで砂利の畝をすくうや、豪快に荷台へ投げ込みはじめた。埃が立ち上って、辺り一面にひろがった。 
 10-CIMG1342.jpg  
捨てるのか。 「まさか。他所へ移すんや。この頃は砂利は高いから大事にせな」。 もったいない、もったいない。そう言いながらじいちゃんはトラックの助手席に乗り込んで行ってしまった。
 
今、伊勢神宮がおもしろい。一昨年の2007年に参拝者は13年ぶりに700万人を超え、翌2008年は750万人を記録した。これからも遷宮が行われる2013年に向けて年々増えていくだろう。 参拝者が増えればそれだけ石段を上る玉砂利も増える。なかには参拝者について外へ出て行く石もあるだろう。そんなことを考えていると、東京の友人から電話があった。

「あんまりおかしいので知らせたくて」とクスクス笑いながら話してくれたことに驚いた。「伊勢へ履いていったウォークシューズを掃除をしようと取り出したら底に神宮の砂利がぎっしり付いてるじゃないの!ワタシと一緒に東京まで来てくれたなんて感激だわ。ご利益かしら」とうれしそう。 びっくりして、「今、同じことを考えていたの」と説明すると今度は友人が絶句した。友人の靴底に挟まっていた砂利は15個以上あったという。年間700万人の参拝者のみんながあんなゴツゴツ底のウォークシューズを履いていないにしても、相当量の玉砂利が全国津々浦々、あるいは世界へと旅をしているのだろう。
砂利掻きのじいちゃんが「砂利が減って困る」とぼやいていたが、参拝者についていくだけでなく、風に飛ばされたり参拝者に踏み飛ばされて森へ入り込むとか、参道の土にめり込むとかするのだろう。しかし、それなら長い歳月を経て、森は砂利だらけになり参道は砂利が積もってぐんと高くなるはずだ。あれだけ広い神苑や参道の玉砂利が減るもっと大きな原因は他にあるに違いない。そこで、神宮で知り合った地方の神主さんに電話をかけた。

「伊勢神宮の砂利が減るのは多分、砕石が多いからだと思います」 。日本の多くの川では玉砂利の採取が進んで川原がやせてしまったので、法規制が敷かれて簡単に川原の玉砂利を採ることができなくなった。砕石は踏まれたり、石同士が擦れあったりすると容易に崩れてしまうので、確証はないけれどもと言いながらも話してくれたこの砕石原因説は当たっているだろう。というのも、外宮さんはそれほどでもないが内宮さんを歩くと埃まみれになるので、「昔からこんなに埃っぽかったか」といつも疑問に思っていたからだ。内宮さんではよく砂利に散水しているがこんな光景も以前に見た記憶はなかった。

調べてみるとやはり、三重県でも1975年頃から原則として河川からの砂利採取を禁止され、宮川の玉砂利を購入していた神宮では玉砂利確保が悩みの種になっているという。 窮状を見かねてか、 鈴鹿市の建設会社の社長さんが30年以上前から50トンの玉砂利奉納を続けてくれているという。現役を退いてからも12月に入ると15台の砂利奉納のダンプが大鳥居の前に横付けになる。

砕石原因説を教えてくれた神主さんの神社ではどうしているのだろうか。「うち?ありがたいことに小さい神社だから足らなくなると庭木屋さんで購入して足してますよ」 

友人の靴底につぃて東京まで行った神宮の砂利は後日郵送されてきた。みんな砕石だった。「伊勢神宮にもどしておいてください」と手紙が添えられていた。 

              
18-R0012441.jpg  
           お帰りの際は玉砂利がついてないか、衣服や靴底などをご確認ください。 
   

 

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プロフィール

mimosusor

Author:mimosusor
伊勢に生まれながら小さいときから都会大好き。中学校を終えると、ひとりで大阪の学校へ進み、その後は東京で就職。しかし、日本最大の都会にも物足らず、世界の大都会ニューヨークへ。あぁ、ここぞ探していたわが棲み処、もう動くまいと感涙にむせびながら腰を下ろしてから十余年。

仕事で一時帰国していたとき帰郷したのが事の始まりというか終わりというか、「ニューヨークへ帰るの、やめた。伊勢に住む!」となりにけり。

そのわけ?なんたって伊勢神宮ですよ。何十年ぶりかで訪れた伊勢神宮をひとめ見るや打ちのめされてしまったのです。なにが、なにに、なにしたのか。その顛末はブログをどうぞ。

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