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5. 神さんの鶏

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                     神苑でひなたぼっこをする神さんの鶏たち

伊勢神宮でお参りをすませた帰り道。神楽殿でお守りなどを買って小さな火除橋を渡ると御厩(みうまや)に白いお馬が見えてくる。天皇陛下から奉納された晴勇号(はれいさむごう)なのだが、最近はお年のせいか元気がなくて午前九時から午後三時までのお勤めも休みがち。代わりにいつも元気に歩きまわっているのがニワトリたちだ。年間七百万人のひとびとがやってくる神さんの苑に住んでいるせいか、ニンゲンなんか怖くない。近づこうが羽に触ろうが気にするふうもなく、虫つつきに専念している。「伊勢神宮がニワトリを?」、「食べるんじゃないの」。そんな会話をよく聞くが、みなさん、ニワトリは神宮では神さんの鳥、神鶏(しんけい)と呼ばれてエライのですぞ。

太古の昔より、ニワトリは闇を払って暁を告げる鳥として大切にされてきた。太陽の神、天照大神が弟のスサノオノ命の狼藉に心を痛めて岩戸にお隠れになってしまい世の中、真っ暗になったとき、ひと役買ったのがニワトリなのだ。どうしたら太陽神に岩戸からお出ましいただけるか八百万の神さんたちが暗い河原に集まった知恵を絞った。まずは大きく騒いで天照大神の関心を引こうということでまとまり、岩戸に派手な飾りをつけた榊を捧げてお祓いすませると、ニワトリの、それも長~く鳴く長鳴鳥を集めて「コケコッコー!」(その頃はカケコー!か)と鳴かせて夜明けを告げると、ウズメノ命が桶の上に乗って、トントントントン、足踏みをしながら踊りはじめた。衣をはだけ胸丸出しで狂喜乱舞する姿に演出者の八百万の神さんたちもやんやの喝采。闇に閉ざされているというにこの賑わいは何事かと天照大神が岩戸を細く開けて問うてきたところを力持ちの神さんがぐいと開けて、ありがたや陽はまた天上に輝きはじめたのである。 その天照大神を祭神とする神宮さんにニワトリがいるのはけだし当然のこと。
 
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伊勢神宮のニワトリには大きなおつとめがある。二十年に一度行われる神宮最大のおまつり、ご遷宮で「生きみつぎ」として神様に献上されるのだ。

午後八時、神域のすべての明かりが消されて神宮の杜が闇につつまれると、ご遷宮のクライマックスである遷御の儀がはじまる。 神職が天岩戸開きの故事にならって鶏鳴三声、「カケコー、カケコー、カケコー!」と声高らかに鳴いて扇をパタパタパタッと上から下へ三回扇ぐ。天皇の勅使が「出御!」と告げると、ご神体が純白の絹の垣に守られてお出ましになる。ひちりきの音と神楽歌の調べの流れるなか隣の新宮へ。そこで午後十時までまつりが行われてめでたく二十年目のお引越しが完了とする。

ちなみに、外宮さんの儀式での鶏鳴三声は「カケロー、カケロー、カケロー!」と内宮とは微妙に異なり、扇も内宮とは逆に下から上にパタパタと扇ぐと祭神の豊受大神のご神体がお出ましになるというからおもしろい。

9-CIMG8757.jpgところで、神様に献上される「生きみつぎ」というのが気になっておられるのではなかろうか。ワタシも最初にきいたときはギョッとさせられたので説明しておこう。

「生調」(生きみつぎ)として用意されるのは日本鶏の小国の白色種のつがいで、ご遷宮関係のすべてのまつりにつがい22羽、44羽が必要となる。それらは丸い竹籠に入れられてお供品となるため、白い小国鶏のなかでも特に姿かたちや声、元気だがおとなしくて気品のある鳥が求められるという。前回は夫婦岩で有名な近くの二見町の神宮奉納鶏保存会が奉納した。これらのニワトリは役目を終えると、ご安心あれ、みな苑に放たれた。

ニワトリの平均寿命は十年、長いと三十年にもなるというから前回のご遷宮から十五年を経た今、神域で遊ぶニワトリのなかに前回のご遷宮のお供品がいるやもしれぬ。 しかし、苑で遊ぶニワトリのなかには茶色や黒が目立つのもいるではないか。
「あ~、あれは捨て鳥ですよ」と関係者がニガ笑いする。夜店で買ったり、もらったりした雛が大きくなって困ると夜陰にまぎれてこっそり放していくとか。いずれにせよ、神宮では等しく餌を与えている。

一時、ニワトリ小屋を設けたこともあったが臭いがするので廃止にして鳥たちは庭に放し飼いにしたまま。神さんの苑では神さんの任意のままに、ニワトリも夜店のニワトリもみんな一緒に餌をもらってのびのび平穏な暮らし。かというと、実はそうでない。

伊勢神宮の深い森には鹿をはじめキツネやムジナなどいろいろの生き物が棲んでおり、夜になると餌を求めて下りてくる。ニワトリは鳥目ゆえ夜には目が見えないので、暗くなると木に上って夜を過ごす。夜が明けてきたのでやれやれと安心して木から下りたとたん、襲われることが多いようで早朝の苑には鶏の羽や毛が散乱しているそうだ。油断大敵だ。

内宮と外宮、どちらも同じ数くらいのニワトリがいたが、外宮の勾玉池のほとりにいるニワトリは少なくなった。深い森に抱かれた内宮より町中に建つ外宮のほうが安全なように思うが、町中ゆえ動物たちを引きつける食べるものが多いのか。神宮奉納鶏保存会では神宮さんのニワトリが少なくなっては寂しいと今年の六月に白い小国鶏四羽を奉納した。 神宮のワイルドライフもなかなか厳しいようだ。  
                                                               *

            年末恒例の酒樽の奉納品の前で。 「今年の出来はどうかね」 と囁き合っているのだろうか

18-R0015890.jpg

 

 

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プロフィール

mimosusor

Author:mimosusor
伊勢に生まれながら小さいときから都会大好き。中学校を終えると、ひとりで大阪の学校へ進み、その後は東京で就職。しかし、日本最大の都会にも物足らず、世界の大都会ニューヨークへ。あぁ、ここぞ探していたわが棲み処、もう動くまいと感涙にむせびながら腰を下ろしてから十余年。

仕事で一時帰国していたとき帰郷したのが事の始まりというか終わりというか、「ニューヨークへ帰るの、やめた。伊勢に住む!」となりにけり。

そのわけ?なんたって伊勢神宮ですよ。何十年ぶりかで訪れた伊勢神宮をひとめ見るや打ちのめされてしまったのです。なにが、なにに、なにしたのか。その顛末はブログをどうぞ。

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