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7. 祓う

18-R0016112.jpg   
          五十鈴川を前に大祓祝詞を奏上(左上)、神職ご一同はそろって平伏。 後ろは脱ぎ揃えた履物 
  
大晦日の午後、五十鈴川を臨む伊勢神宮の祓所に神職さんたちがずらり勢ぞろい。太鼓の音が響き渡り、神事を司る禰宜さんがひとりひとりに榊を配り、麻の幣がついた榊で全員を清めると年越大祓(としこしおおはらい)の祝詞の読み上げが始まった。神職さんたちは一枝の榊を手にいっせいに平伏して身じろぎもしない。なにを読み上げておられるのか遠巻きに見守る私たちにはなにも聞こえてこないが、神職さんたちはひたすら平伏を続けている。何の動きもなく何の音も聞こえない。時の歩みが遅くて長い。興味深々で眺めていた参拝者たちも「長いなぁ」、「行こうか」とひそひそ声をかけあうと、次々に去っていった。

9-R0016130.jpg長い祝詞が終わり、神職さんたちが頭を上げた。時間にすれば10分にも満たなかったようだが、眺めているには長い沈黙の時間だった。神職さんたちに配られた榊が回収されて麻のついた幣などと一緒に櫃に納められて河原へ運ばれ、そこでまた何かをやっておられるというのに、神職さんたちは順に立ち上がると行列を組んで消えてしまった。後片づけをしているおじいさんに、「この続きは?」と訊いたら、「もう終わりですわ」とそっけない。

なんだか物足りなくて近くの猿田彦神社へまわる。こちらの大祓は神職全員9名と少人数で雰囲気もアットホーム。祝詞も大きな声で「高天原に~八百万の神~」と読み上げてくれた。小さな幣が参拝者に配られて、「左から右へ振って息を吹きつけてください」と教えられる。

息を吹きかけたこの小さな幣が私に代わって罪・穢れを海、川で清めてくれるのかと思いきや、儀式がすむと祓幣の紙は細かくちぎって天上高く舞い散らし、祓に使った榊はボキボキとへし折り、式壇にかけた白布などは音を立てて引き裂かれてしまった。それら祓物に私たちが息を吹きつけた小さな幣は境内に用意した大かがりへと運ばれた。

9-R0016207.jpg小さな火打ち石を擦りあわせて火を起こし、大かがりに点火すると小さな火はあっという間に大きな炎となった。炎はまたたく間に大きく炎上し、納められた祓物は瞬時に消えて失せた。お餅をいただきみんなと長い焼き網を使って清められた火で焼いて食べた。うまかった。隣のおじいさんも、これで新しい年は風邪も ひかずに息災だとうれしそうに餅をほおばる。儀式に徹する静の神宮、参拝者参加型の動の猿田彦神社、ふたつの対照的な年越大祓だった。

神宮の元神職さんの矢野憲一氏の「伊勢神宮~知られざる杜のうち」(角川選書)によると、神宮の神職さんたちが長い平伏を続けた大祓祝詞には、「知らず知らずに過ちを犯したたくさんの天つ罪、国つ罪を風が八重雲や霧を払うように、山から川へ、そして大海原に出て、根の国へと次第に祓い清めていくという、雄大なシステムの自然の循環の思想を盛り込んだ言葉が綴られている」のだそうで、「これを聞きながら、一堂は平伏して手にする榊に息吹を吹き移し、各自の榊を回収して祓物と修祓の具と共に川辺から水に流す。五十鈴川を流れ流れて、やがては伊勢湾に注ぎ、海の潮(塩)で清まるのだ」という。

あの時がとまったような10分間にこんな壮大なドラマが秘められていようとは誰が想像できようか。伊勢神宮はおもしろい!だから神宮通いはやめられないのだ。

新しい年が明け、はるかかなたのアメリカでは第44代大統領が誕生した。オバマ新大統領は就任演説でアメリカ国民にこう呼びかけた。「今日、私たちは立ち上がり、埃を払ってアメリカ建国にもう一度取りかかろうではありませんか」 ”Starting today, we must pick ourselves up, dust ourselves off, and begin again the work of remaking America.”

これぞ大祓の真髄そのものではないか。新大統領は「溜まりに溜まったたくさんの天つ罪・国つ罪を落として身を清め、アメリカを正常な道へと復興させようではないか」と呼びかけたのだ。大祓は6月の夏越大祓(なごしのおおはらい)と大晦日の年越大祓、半年毎に行われる。オバマ大統領にも教えてあげなくては。

18-R0016230.jpg 
                長い手のついた網で餅を焼く。火の粉が風に吹かれて突然、襲ってくるのでコツがいる。

 

 

 

 

 

 

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mimosusor

Author:mimosusor
伊勢に生まれながら小さいときから都会大好き。中学校を終えると、ひとりで大阪の学校へ進み、その後は東京で就職。しかし、日本最大の都会にも物足らず、世界の大都会ニューヨークへ。あぁ、ここぞ探していたわが棲み処、もう動くまいと感涙にむせびながら腰を下ろしてから十余年。

仕事で一時帰国していたとき帰郷したのが事の始まりというか終わりというか、「ニューヨークへ帰るの、やめた。伊勢に住む!」となりにけり。

そのわけ?なんたって伊勢神宮ですよ。何十年ぶりかで訪れた伊勢神宮をひとめ見るや打ちのめされてしまったのです。なにが、なにに、なにしたのか。その顛末はブログをどうぞ。

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